日記:低空飛行のすごし方

北関東は快晴です。梅がちらほら咲きはじめ、車のフロントガラスはうっすら花粉を被り、むずむずと春の訪れを感じます。

張り切っていた制作や展示がひと段落がつくと、「あれ?なんか1人で盛り上がってただけかも」とネガティブマインドにはまる時があると話すと「あ、それ。我にかえっちゃったんだね」と作品づくりの大先輩が「あるよあるよ」と頷いてくれた昨日。

すばらしい作品をつくり続けている先輩方にもこれがあるのかと、それなら私ごときが沈殿している場合ではないと思えたのでした。信頼できる人には心情を話してみるものですね。話は「我にかえらず、考えずに励むことだよね〜」と落ち着いた。そうだ、そんな考えに鬱屈とする時間はたいてい無駄なのです。

ひと段落ということで、昨日の帰宅後は思い切り別世界に没頭することになりました。

まずは本。紙の文庫本は森博嗣著「すべてがFになる」を、耳で聴くオーディオブックは川上未映子著「夏物語」。これらはまだ途中。それからサブスクで映画を2本、「愛に乱暴」と「怪物」を観た。

「愛に乱暴」は吉田修一氏の原作で、内容は割愛するけど、積み重なった激しい絶望感の中一筋差しこんだ小さな救いに、結構心を揺さぶられました。重い前髪で顔の全貌は映らない水間ロン氏という俳優のあの役、あれは近所のホームセンターにいたら恋してしまうと思う…役の役割に反して雰囲気が良すぎる。そして憎たらし可愛いが爆発する馬場ふみか氏が出ていたことも、ロケーションなり、パートナーたる男へのやり場のない気持ちは、以前観たドラマ「けむたい姉とずるい妹」を思い出した。吉田修一氏といえば、今年「国宝」の上映を楽しみにしている。原作の壮大なストーリーはどう映画に収まるのか。ストーリーは任侠、歌舞伎、女方。画面はさぞかし艶やかなことでしょう。しかも、主演は吉沢亮氏ですから。年末いろいろありましたけど、それはもう本当に楽しみです。実は昨年、吉沢亮氏のトークショーに行きました。彼はサービス精神が旺盛で2階、3階、会場中の花道を歩いて行かれました。「え…まさか…」と呆然としていたら案の定、2階花道沿いの座席にいた私のすぐ隣も通っていきました。私はこういう時瞬きもしません。あまりの造形美に隣の知らない女性と言葉にならない言葉を話しながら手を取り合ったことは、良き思い出です。いつもながら話がそれました。

「怪物」はこんな夜に観て良かった、見事にばっちり夢中にさせてくれました。内容的にはハッピーな話ではないけど全体のまとまりも、伏線の回収の仕方も、解釈を観る側に委ねる部分も、長野の諏訪地方という舞台の美しさもあいまってきもちがよくて、わるい。普段映画監督をあまり意識していない私でも是枝裕和監督はさすがに名前を知っているし、いくつかは観ている。昔観た「誰も知らない」、この作品のせいでいまだに柳楽優弥氏という俳優を見かけると涙ぐみそうになる。「怪物」もしかり、子どもたちの演技が上手すぎて「子どものこの無邪気さが演技のはずない…」と疑う節がある私には、どうも現実との境目が曖昧になってしまうのだ。

さて、こんなところでやめておきます。また絵を描いては別世界に飛んで、描いては別世界に飛んで行こう。ガッツだ。ではごきげんよう。

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